かひなくて御供に声 若紫12章12
原文 読み 意味
かひなくて 御供に声ある人して歌はせたまふ
朝ぼらけ霧立つ空のまよひにも行き過ぎがたき妹が門かな
と 二返りばかり歌ひたるに
05203/難易度:☆☆☆
かひなく/て おほむ-とも/に/こゑ/ある/ひと/して/うたは/せ/たまふ
あさぼらけ/きり/たつ/そら/の/まよひ/に/も/ゆきすぎ/がたき/いもがかど/かな
と ふたかへり/ばかり/うたひ/たる/に
仕方なくて、お供の中で声のよい者に歌を吟じさせになる。
《あさぼらけ 霧立つ空に 気持ちも空と迷ううちにも 素通りしがたい恋しい人の門かな》
と、二度ばかり朗唱したところ、
かひなくて 御供に声ある人して歌はせたまふ
朝ぼらけ霧立つ空のまよひにも行き過ぎがたき妹が門かな
と 二返りばかり歌ひたるに
大構造と係り受け
古語探訪
空のまよひ 05203
霧が立つ自然の空と、心も空となって迷うという二つの意味がかかっている。
いも 05203
恋しい人への呼びかけ。