暮れかかりぬれどお 若紫01章22
目次
原文 読み 意味
暮れかかりぬれど おこらせたまはずなりぬるにこそはあめれ はや帰らせたまひなむ とあるを 大徳 御もののけなど 加はれるさまにおはしましけるを 今宵は なほ静かに加持など参りて 出でさせたまへ と申す
05022/難易度:☆☆☆
くれ/かかり/ぬれ/ど おこら/せ/たまは/ず/なり/ぬる/に/こそ/は/あ/めれ はや/かへら/せ/たまひ/な/む と/ある/を だいとこ おほむ-もののけ/など くははれ/る/さま/に/おはしまし/ける/を こよひ/は なほ/しづか/に/かぢ/など/まゐり/て いで/させ/たまへ と/まうす
「日も暮れかけてまいりましたが、発作も出なくなられたようですのに。はやく都へお帰りなされては」と進言する者がいるのを、大徳は、「病気だけでなく物の怪なんかも憑いているご様子でいらしたのに、今晩はなお静かに加持などお受けになって、それからお立ちなさいませ」と申し上げる。
暮れかかりぬれど おこらせたまはずなりぬるにこそはあめれ はや帰らせたまひなむ とあるを 大徳 御もののけなど 加はれるさまにおはしましけるを 今宵は なほ静かに加持など参りて 出でさせたまへ と申す
大構造と係り受け
古語探訪
暮れかかりぬれど 05022
「つ」は他動詞につきやすく、動作をしてしまった感じ。それに対して、「ぬ」は自動詞につきやすく、自然がそういう状態になっているという感じ。
おこらせ 05022
気が発病しない。
なりぬるに 05022
「に」は断定の「なり」の連用形。
こそはあめれ 05022
逆接で下につづくが、その部分を欠く。(病気が治ったのに)どうしているのか、くらいが省略されている。
御もののけ 05022
「御」は光に取りついた霊だから、光のものとして敬語が使われている。