情けなき人なりて行 若紫01章19
原文 読み 意味
情けなき人なりて行かば さて心安くてしも え置きたらじをや など言ふもあり
05019/難易度:☆☆☆
なさけ/なき/ひと/なり/て/ゆか/ば さて/こころやすく/て/しも え/おき/たら/じ/をや など/いふ/も/あり
「人の気持ちなど考えない国司が赴任してきたら、そんな暢気においておけるものだろうか」などと言う者までいる。
情けなき人なりて行かば さて心安くてしも え置きたらじをや など言ふもあり
大構造と係り受け
古語探訪
情なき人なりて行かば 05019
冷酷な国司が赴任してきたらの意味である。「情なき人になりてゆかば」との本文もあるが、「心ない人になるのなら」の意味であり、この仮定はおかしい。「心ない人になるとわかっていたら」という仮定であれば、「そんな悠長にはほってられなだろう」につづく。
え置きたらじ 05019
「おき」は、ほっておくのではなく、結婚させないでおくの意味。一人身を守らせることはしないだろうということ。冷酷な国司のものになるくらいなら、これまで言い寄ってきた男たちの一人にやっておけばよかったということ。