母こそゆゑあるべけ 若紫01章18
原文 読み 意味
母こそゆゑあるべけれ よき若人 童など 都のやむごとなき所々より 類にふれて尋ねとりて まばゆくこそもてなすなれ
05018/難易度:☆☆☆
はは/こそ/ゆゑ/ある/べけれ よき/わかうど わらは/など みやこ/の/やむごとなき/ところどころ/より るい/に/ふれ/て/たづね/とり/て まばゆく/こそ/もてなす/なれ
「母親は教養ある家柄だろうけどな。立派な若い女房や女童など、都のこれ以上ない身分であるここそこの家から、つてを使って尋ねとり、まぶしいくらいに大切に育てていても」
母こそゆゑあるべけれ よき若人 童など 都のやむごとなき所々より 類にふれて尋ねとりて まばゆくこそもてなすなれ
大構造と係り受け
古語探訪
母こそゆゑあるべけれ 05018
「こそ……已然形」だから、後の文と逆接でつながる。しかし、この後の文が略されているのだ。略されている理由は、前に出ているから。つまり、前の発言者の「さいふとも田舎びたらむ」を受け、母の方は出がいいんだがな、(でも娘の方は田舎くさいだろう)というのだ。「まばゆくこそなすなれ」も同じで、どんなに金を投じ、教養をみにつけ、まぶしいような存在にしたてあげようと、所詮、田舎くさいだろうとの意味。「こそ……已然形」は、強調である場合より、この逆接でつながる場合が多いので注意したい。