さらばいとうれしく 夕顔12章11

2021-04-25

原文 読み 意味

さらば いとうれしくなむはべるべき かの西の京にて生ひ出でたまはむは 心苦しくなむ はかばかしく扱ふ人なしとて かしこに など聞こゆ

04151/難易度:☆☆☆

さらば いと/うれしく/なむ/はべる/べき かの/にし-の-きやう/にて/おひ/いで/たまは/む/は こころぐるしく/なむ はかばかしく/あつかふ/ひと/なし/とて かしこ/に など/きこゆ

「そうなりますなら、どんなにうれしいことでございましょう。あの西の京でご成長なさるのかと思うと心苦しくて。五条にはしっかりと面倒をみれる人がいないということで、いまも西の京に」と申し上げる。

さらば いとうれしくなむはべるべき かの西の京にて生ひ出でたまはむは 心苦しくなむ はかばかしく扱ふ人なしとて かしこに など聞こゆ

大構造と係り受け

古語探訪

さらば 04151

光が夕顔の子の面倒をみることになったら。

扱ふ 04151

面倒をみる。

かしこに 04151

西の京に。このあたりは、やや物語として説明不充分の感がある。前後の話から整理すると、夕顔や右近たちは西の京が住みづらくて、山里に向うまえに方違えとして、五条の宿にいたが、子供の方は面倒をみれる人が五条にはいないので、西ノ京の乳母のもとに母親と離れて暮らしていた、ということ。当時は母親でなく、乳母が子供の面倒をみたから、夕顔のまわりにはいい乳母がいなかった、ということである。

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