さらばいとうれしく 夕顔12章11
原文 読み 意味
さらば いとうれしくなむはべるべき かの西の京にて生ひ出でたまはむは 心苦しくなむ はかばかしく扱ふ人なしとて かしこに など聞こゆ
04151/難易度:☆☆☆
さらば いと/うれしく/なむ/はべる/べき かの/にし-の-きやう/にて/おひ/いで/たまは/む/は こころぐるしく/なむ はかばかしく/あつかふ/ひと/なし/とて かしこ/に など/きこゆ
「そうなりますなら、どんなにうれしいことでございましょう。あの西の京でご成長なさるのかと思うと心苦しくて。五条にはしっかりと面倒をみれる人がいないということで、いまも西の京に」と申し上げる。
さらば いとうれしくなむはべるべき かの西の京にて生ひ出でたまはむは 心苦しくなむ はかばかしく扱ふ人なしとて かしこに など聞こゆ
大構造と係り受け
古語探訪
さらば 04151
光が夕顔の子の面倒をみることになったら。
扱ふ 04151
面倒をみる。
かしこに 04151
西の京に。このあたりは、やや物語として説明不充分の感がある。前後の話から整理すると、夕顔や右近たちは西の京が住みづらくて、山里に向うまえに方違えとして、五条の宿にいたが、子供の方は面倒をみれる人が五条にはいないので、西ノ京の乳母のもとに母親と離れて暮らしていた、ということ。当時は母親でなく、乳母が子供の面倒をみたから、夕顔のまわりにはいい乳母がいなかった、ということである。