かの中将にも伝ふべ 夕顔12章10
目次
原文 読み 意味
かの中将にも伝ふべけれど 言ふかひなきかこと負ひなむ とざまかうざまにつけて 育まむに咎あるまじきを そのあらむ乳母などにも ことざまに言ひなして ものせよかし など語らひたまふ
04150/難易度:☆☆☆
かの/ちうじやう/に/も/つたふ/べけれ/ど いふかひなき/かこと/おひ/な/む とざま/かうざま/に/つけ/て はぐくま/む/に/とが/ある/まじき/を その/あら/む/めのと/など/に/も ことざま/に/いひ/なし/て ものせ/よ/かし など/かたらひ/たまふ
「あの中将にも伝えるのが筋であろうが、夕顔を死なしたと、弁明の立たない非難を負うことになろう。あれこれの縁を考えるにつけ、わたしが育てるのに難はあるはずがなかろうから、その西の京にいるという乳母たちにも、うまいうそを言ってその子を連れて来てくれ」などとご相談なさる。
かの中将にも伝ふべけれど 言ふかひなきかこと負ひなむ とざまかうざまにつけて 育まむに咎あるまじきを そのあらむ乳母などにも ことざまに言ひなして ものせよかし など語らひたまふ
大構造と係り受け
古語探訪
伝ふべけれ 04150
伝える義務がある。
言ふかひなきかことと 04150
この表現の主語は主体に一致する。頭中将が言ってもかいのない非難を言うのではなく、光が頭中将のかごとに対して言い訳ができないというのである。
とざまかうざま 04150
夕顔と縁のあった光がその子の面倒をみるのは自然であるという理由と、頭中将の子であるということは、義理の兄である光が面倒みるのも不自然でないという理由。
そのあらむ乳母 04150
「西の京に御乳母住みはべる所になむはひ隠れたまへりし/04248」とあった。
ことざまに言ひなして 04150
うまくうそをでっちあげて。
語らひ 04150
はかりごとをもちかける。