時々中垣のかいま見 夕顔01章19

2021-04-13

原文 読み 意味

時々 中垣のかいま見しはべるに げに若き女どもの透影見えはべり 褶だつもの かことばかり引きかけて かしづく人はべるなめり 昨日 夕日のなごりなくさし入りてはべりしに 文書くとてゐてはべりし人の顔こそいとよくはべりしか もの思へるけはひして ある人びとも忍びてうち泣くさまなどなむ しるく見えはべると聞こゆ

04019/難易度:☆☆☆

ときどき/なかがき/の/かいまみ/し/はべる/に げに/わかき/をむな-ども/の/すきかげ/みエ/はべり しびら/だつ/もの かこと/ばかり/ひき-かけ/て かしづく/ひと/はべる/な/めり きのふ ゆふひ/の/なごり/なく/さし-いり/て/はべり/し/に ふみ/かく/とて/ゐ/て/はべり/し/ひと/の かほ/こそ/いと/よく/はべり/しか もの/おもへ/る/けはひ/し/て ある/ひとびと/も/しのび/て/うち-なく/さま/など/なむ しるく/みエ/はべる と/きこゆ

時々、中垣からかいま見ますに、話の通り、若い女たちの透影が見えます。褶(シビラ)のようなものを申し訳みたいに羽織って、主人に仕える者もいるようです。昨日、夕日が部屋中にさしこみましたときに、手紙を書こうとして座っていた女の顔は、実に美しいものでしたが、ひどい悩みがあるらしくて、みなつい忍び泣きする様子など、はっきりと見てとれました」と申し上げる。

時々 中垣のかいま見しはべるに げに若き女どもの透影見えはべり 褶だつもの かことばかり引きかけて かしづく人はべるなめり 昨日 夕日のなごりなくさし入りてはべりしに 文書くとてゐてはべりし人の顔こそいとよくはべりしか もの思へるけはひして ある人びとも忍びてうち泣くさまなどなむ しるく見えはべると聞こゆ

大構造と係り受け

古語探訪

褶 04019

練らない夏用の薄い絹。

こそ……しか 04019

下に逆接として続く。美しかったが、声を殺してつい泣いていたと続く。

しるく 04019

はっきりと。

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