人びといづこよりお 夕顔09章01

2021-04-23

原文 読み 意味

人びと いづこより おはしますにか なやましげに見えさせたまふ など言へど 御帳の内に入りたまひて 胸をおさへて思ふに いといみじければ などて 乗り添ひて行かざりつらむ 生き返りたらむ時 いかなる心地せむ 見捨てて行きあかれにけりと つらくや思はむ と 心惑ひのなかにも 思ほすに 御胸せきあぐる心地したまふ

04104/難易度:☆☆☆

ひとびと いづこ/より おはします/に/か なやましげ/に/みエ/させ/たまふ など/いへ/ど みちやう/の/うち/に/いり/たまひ/て むね/を/おさへ/て おもふ/に いと/いみじけれ/ば などて のり/そひ/て/いか/ざり/つ/らむ いきかへり/たら/む/とき いかなる/ここち/せ/む みすて/て/ゆきあかれ/に/けり/と つらく/や/おもは/む/と こころまどひ/の/なか/に/も おもほす/に おほむ-むね/せき/あぐる/ここち/し/たまふ

人々が、「どこからお戻りになったのか、ご気分がわるそうにお見えあそばされる」などと問うが、御帳の内にお入りになり、胸に手をあてておもいみるに、とても不憫に感じられ、どうして一緒に乗って行かなかったのか、生き返りでもした時、どんな心持がしよう。見捨てて行っておしまいとは、冷たい人となじるだろうと、気が動顛しながらも女のことを思いやりになり、お胸がせきあげるお気持ちになられる。

人びと いづこより おはしますにか なやましげに見えさせたまふ など言へど 御帳の内に入りたまひて 胸をおさへて思ふに いといみじければ などて 乗り添ひて行かざりつらむ 生き返りたらむ時 いかなる心地せむ 見捨てて行きあかれにけりと つらくや思はむ と 心惑ひのなかにも 思ほすに 御胸せきあぐる心地したまふ

大構造と係り受け

古語探訪

いみじけれ 04104

野辺送りについてゆかなかったことに対する申し訳なさ。

つらく 04104

夕顔が自分の仕打ちを薄情だと思う気持ち。

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