右近は物もおぼえず 夕顔07章18

2021-04-23

原文 読み 意味

右近は 物もおぼえず 君につと添ひたてまつりて わななき死ぬべし また これも いかならむ と 心そらにて捉へたまへり 我一人さかしき人にて 思しやる方ぞなきや

04094/難易度:☆☆☆

うこん/は もの/も/おぼエ/ず きみ/に/つと/そひ/たてまつり/て わななき/しぬ/べし また これ/も/いか/なら/む/と こころ/そら/にて/とらへ/たまへ/り われ/ひとり/さかしき/ひと/にて おぼし/やる/かた/ぞ/なき/や

右近は何もわからず、君にしかとお縋り申して、わななき瀕死の態。またこれもどうなることかと、上の空でつかまえていらっしゃる。しっかりしているのは自分ひとりなのに、思いめぐらす方途さえないとは。

右近は 物もおぼえず 君につと添ひたてまつりて わななき死ぬべし また これも いかならむ と 心そらにて捉へたまへり 我一人さかしき人にて 思しやる方ぞなきや

大構造と係り受け

古語探訪

つと添ひ 04094

「つと」はしっかりと。

わななき死ぬべし 04094

地の文。

またこれもいかならむ 04094

光の心内語。

我一人さかしき人にて 04094

自分ひとりが意識もあり、分別もありだが、逆に頼みになるのも自分しかいないこと。そのひとりの自分が「思しやる方ぞなきや」と途方にくれているのである。

思しやる 04094

解決策を見出そうと思いをめぐらせる。

方ぞなき 04094

解決の方向が見当たらない。

や 04094

詠嘆。

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