前栽の色々乱れたる 夕顔03章05

2021-04-18

原文 読み 意味

前栽の色々乱れたるを 過ぎがてにやすらひたまへるさま げにたぐひなし 廊の方へおはするに 中将の君 御供に参る 紫苑色の折にあひたる 羅の裳 鮮やかに引き結ひたる腰つき たをやかになまめきたり

04035/難易度:☆☆☆

せんさい/の/いろいろ/みだれ/たる/を すぎ/がてに/やすらひ/たまへ/る/さま げに/たぐひ/なし らう/の/かた/へ/おはする/に ちうじやう-の-きみ おほむ-とも/に/まゐる しをん-いろ/の/をり/に/あひ/たる うすもの/の/も あざやか/に/ひき-ゆひ/たる/こしつき たをやか/に なまめき/たり

植込みの草花が様々な色に咲き乱れているのを、見過ごしがたくたたずんでいらっしゃる姿は、まったくもってえも言われぬ風情がある。対屋への渡り廊下へさしかかになったところ、後から中将の君がお見送りのお供に参る。紫苑色の季節にふさわしい上着に、薄絹の裳をあざやかに結んだ腰つきが、やわらかでしっとりと優美である。

前栽の色々乱れたるを 過ぎがてにやすらひたまへるさま げにたぐひなし 廊の方へおはするに 中将の君 御供に参る 紫苑色の折にあひたる 羅の裳 鮮やかに引き結ひたる腰つき たをやかになまめきたり

大構造と係り受け

古語探訪

過ぎがてに 04035

過ぎ難くの意味。

廊の方へ 04035

母屋から対屋(タイノヤ)へ渡る渡り廊下へさしかかろうとするあたり。光は対屋から出口の中門へ行こうとしている。

紫苑色 04035

襲(カサネ)の色目で、表の色裏の色ともに諸説あるが、秋に着用する色である。

裳 04035

正装時、袴の上に身につけるもの。

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