入りたまへれば灯取 夕顔10章13
原文 読み 意味
入りたまへれば 灯取り背けて 右近は屏風隔てて臥したり いかにわびしからむと 見たまふ 恐ろしきけもおぼえず いとらうたげなるさまして まだいささか変りたるところなし
04121/難易度:☆☆☆
いり/たまへ/れ/ば ひ/とり/そむけ/て うこん/は/びやうぶ/へだて/て/ふし/たり いかに/わびしから/む/と み/たまふ おそろしき/け/も/おぼエ/ず いと/らうたげ/なる/さま/し/て まだ/いささか/かはり/たる/ところ/なし
君が板屋にお入りになると、右近は灯火を亡骸から遠ざ、屏風の裏で横になっていた。どんなに心細く思っていようかとごらんになる。亡骸は恐ろしい感じもせず、とても愛らしい様子で、まだ生前といささかも変ったところがない。
入りたまへれば 灯取り背けて 右近は屏風隔てて臥したり いかにわびしからむと 見たまふ 恐ろしきけもおぼえず いとらうたげなるさまして まだいささか変りたるところなし
大構造と係り受け
古語探訪
入り 04121
板屋に。
背けて 04121
亡骸である夕顔から背けて。
いかにわびしからむ 04121
ここが「あたりさへすごき」場所であり、灯りがあたらず、いつも側にいた右近が側についていないという今ある状況と、自分が一緒にいてやれなかったことへの後悔から。