帰り入りて探りたま 夕顔07章09
目次
原文 読み 意味
帰り入りて 探りたまへば 女君はさながら臥して 右近はかたはらにうつぶし臥したり こはなぞ あな もの狂ほしの物怖ぢや 荒れたる所は 狐などやうのものの 人を脅やかさむとて け恐ろしう思はするならむ まろあれば さやうのものには脅されじ とて 引き起こしたまふ
04085/難易度:☆☆☆
かへり/いり/て さぐり/たまへ/ば をむなぎみ/は/さながら/ふし/て うこん/は/かたはら/に/うつぶし/ふし/たり こは/なぞ あな もの-ぐるほし/の/ものおぢ/や あれ/たる/ところ/は きつね/など/やう/の/もの/の ひと/を/おびやかさ/む/とて け-おそろしう/おもは/する/なら/む まろ/あれ/ば さやう/の/もの/に/は おどさ/れ/じ とて ひき/おこし/たまふ
部屋に戻り様子を探ってごらんになると、女君は前の状態のまま臥しており、右近は傍らにうつ伏していた。「これはどうだ。なんと気違い沙汰の怖がりようだ。荒廃した場所は、狐なんどというものが人を脅かそうとして、何だか恐ろしく思わせるものなんだろう。わたしがいるからは、そんなものには威されんぞ」と、右近を引き起こしになる。
帰り入りて 探りたまへば 女君はさながら臥して 右近はかたはらにうつぶし臥したり こはなぞ あな もの狂ほしの物怖ぢや 荒れたる所は 狐などやうのものの 人を脅やかさむとて け恐ろしう思はするならむ まろあれば さやうのものには脅されじ とて 引き起こしたまふ
大構造と係り受け
古語探訪
さながら 04085
前の状態のまま。
こはなぞ 04085
批判。
もの狂ほしのもの怖ぢや 04085
「もの」は、まさに狂おしいそのもの、怖いそのものの意味。程度が常軌を逸しているのであった、すこしの意味ではない。