けうとくもなりにけ 夕顔06章08
原文 読み 意味
けうとくもなりにける所かな さりとも 鬼なども我をば見許してむ とのたまふ
04070/難易度:☆☆☆
けうとく/も/なり/に/ける/ところ/かな さりとも おに/など/も/われ/を/ば/みゆるし/て/む と/のたまふ
「疎まれるまでになってしまったな。それでも、鬼なども私を見逃してくれよう」と、おっしゃる。
けうとくもなりにける所かな さりとも 鬼なども我をば見許してむ とのたまふ
大構造と係り受け
古語探訪
けうとくもなりにける所かな 04070
直前の地の文「いとけうとげになりにける所かな/04069」と酷似しているため、不審に思われている個所であるが、ここは「も……かな」という呼応で、光の実感を表している。光の実感とは何か、それは過去に得ていた印象とのギャップである。「うとくも」とあることからして、かつては親密な心の交流がこの場所とできていたのである。それがあるから、こうなった今でも「鬼なども我をば見ゆるしてん」とつながるのである。すなわち、ここは光にとって、慣れ親しんだ憩いの場であったのだ。