御粥など急ぎ参らせ 夕顔06章06
目次
原文 読み 意味
御粥など急ぎ参らせたれど 取り次ぐ御まかなひうち合はず まだ知らぬことなる御旅寝に 息長川と契りたまふことよりほかのことなし
04068/難易度:☆☆☆
おほむ-かゆ/など/いそぎ/まゐら/せ/たれ/ど とりつぐ/おほむ-まかなひ/うち-あは/ず まだ/しら/ぬ/こと/なる/おほむ-たびね/に おきながかは/と/ちぎり/たまふ/こと/より/ほか/の/こと/なし
お粥など急ぎ準備してさしあげるが、取次ぎをする給仕役が居合わさない。まだ知らぬ普段にない御旅寝のため、息長川(オキナガワ)のように長々と情を交わしあうことよりほかにない。
御粥など急ぎ参らせたれど 取り次ぐ御まかなひうち合はず まだ知らぬことなる御旅寝に 息長川と契りたまふことよりほかのことなし
大構造と係り受け
古語探訪
御まかなひ 04068
取り次ぎ。下家司と右近しかいないため、食事を光に差し出す取次ぎ役がいないことを言う。
まだ知らぬことなる 04068
「こと」は形式名詞の「事」ではなく、「異なる」で、普段と違うの意味。
息長川と契りたまふ 04068
いつまでもとひたすら口約束を交わすとあるが、バカバカしい。馴れない普段と違う場所で、長々とベット・イン以外なかったの意味である。すぐ次に「日たくるほどに起きたまひて」とあるのが証拠。約束していていつのまにか寝ていたのでは、そんな約束は当てにならない。「息長川」は「にほ鳥の息長川は絶えぬとも君に語らむ言尽きめやも」(万葉集)から来ている言葉であるが、ここでは単に長々しい意味の序詞として契りたまふを形容するだけ。契るはもちろん性の営みである。