御供に人もさぶらは 夕顔06章05
原文 読み 意味
御供に人もさぶらはざりけり 不便なるわざかな とて むつましき下家司にて 殿にも仕うまつる者なりければ 参りよりて さるべき人召すべきにや など 申さすれど ことさらに人来まじき隠れ家求めたるなり さらに心よりほかに漏らすな と口がためさせたまふ
04067/難易度:☆☆☆
おほむ-とも/に/ひと/も/さぶらは/ざり/けり ふびん/なる/わざ/かな とて むつましき/しも-げいし/にて との/に/も/つかうまつる/もの/なり/けれ/ば まゐり/より/て さるべき/ひと/めす/べき/に/や など まうさ/すれ/ど ことさら/に/ひと/く/まじき/かくれが/もとめ/たる/なり さらに/こころ/より/ほか/に/もらす/な と/くちがため/させ/たまふ
「お供にどなたもお仕えでないとは。不都合なではございませんか」と、君とは親密な下家司で、左大臣家にも仕えている者だったから、近くに参内して、「しかるべき者を召されてはどうか」などと申し上げるが、「わざと人の来そうにない隠れ処を探したのだ。けっして心ひとつに納めてよそにもらすな」と、口固めをされた。
御供に人もさぶらはざりけり 不便なるわざかな とて むつましき下家司にて 殿にも仕うまつる者なりければ 参りよりて さるべき人召すべきにや など 申さすれど ことさらに人来まじき隠れ家求めたるなり さらに心よりほかに漏らすな と口がためさせたまふ
大構造と係り受け
古語探訪
下家司 04067
摂関・大臣・三位以上の家で、家政をとりしきる役。
殿 04067
左大臣家。