女はいとものをあま 夕顔03章03
目次
原文 読み 意味
女は いとものをあまりなるまで 思ししめたる御心ざまにて 齢のほども似げなく 人の漏り聞かむに いとどかくつらき御夜がれの寝覚め寝覚め 思ししをるること いとさまざまなり
04033/難易度:☆☆☆
をむな/は いと/もの/を/あまり/なる/まで おぼし/しめ/たる/みこころざま/に/て よはひ/の/ほど/も/にげなく ひと/の/もり/きか/む/に いとど/かく/つらき/おほむ-よがれ/の/ねざめ/ねざめ おぼし/しをるる/こと いと/さまざま/なり
女は、ものごとを極端なまでに思い詰めてしまわれるご気性で、おふたりのお年のぐあいも似つかわしくなく、ことが発覚してはとご心配になるにつけ、ますますこうしてつらくなりまさる夜離れの夜々寝覚めるごとに、悶々とうちしおれてしまわれることがらがあれこれ実に多い。
女は いとものをあまりなるまで 思ししめたる御心ざまにて 齢のほども似げなく 人の漏り聞かむに いとどかくつらき御夜がれの寝覚め寝覚め 思ししをるること いとさまざまなり
大構造と係り受け
古語探訪
女 04033
御息所。男女関係を問題にする場合、身分にかかわらず、女と表記されることがある。
いとものをあまりなるまで 04033
極端なまで。生霊になる性格の伏線とみてよい。
思ししめたる 04033
思いつめるの敬語。
齢のほど 04033
女の方が七つ上という年齢さを指す。当時光が十七で、御息所は二十四。
人の漏り聞かむに 04033
二人の関係が世間に知れてはどうしようかとの心配。そう思うにつけ、関係が発覚するのみか、すでに二人の関係は冷めており、足の遠のいた男を独りさみしく待ちつづけるみじめな状態では、気の腐るばかりである。
夜がれ 04033
男の訪れがなく、性的にも満たされないで、独り寝がつづく状態。