まづ急ぎ参れり舟路 夕顔02章03
目次
原文 読み 意味
まづ急ぎ参れり 舟路のしわざとて すこし黒みやつれたる旅姿 いとふつつかに心づきなし されど 人もいやしからぬ筋に 容貌などねびたれど きよげにて ただならず 気色よしづきてなどぞありける
04025/難易度:☆☆☆
まづ/いそぎ/まゐれ/り ふなみち/の/しわざ/とて すこし/くろみ/やつれ/たる/たびすがた いと/ふつつか/に/こころづきなし されど ひと/も/いやしから/ぬ/すぢ/に かたち/など/ねびたれ/ど きよげ/に/て ただならず けしき/よしづき/て/など/ぞ/あり/ける
船路のせいで、すこし日に焼け色黒くやつれた旅の後の姿は、とても不恰好で好きになれない。しかしながら、生まれも卑しからざる血筋で、顔立ちなど老けてはいるがととのった感じで、並々でない風格が備わるといったところであった。何をおいても先ず、光の君のもとへ参上してきた。
まづ急ぎ参れり 舟路のしわざとて すこし黒みやつれたる旅姿 いとふつつかに心づきなし されど 人もいやしからぬ筋に 容貌などねびたれど きよげにて ただならず 気色よしづきてなどぞありける
大構造と係り受け
古語探訪
舟路のしわざ 04025
舟旅をしたせいで。
ふつつか 04025
太く頑丈な。繊細さを優美とみなす平安朝の美意識に外れる。
心づきなし 04025
愛情がわかない。話者の評。
ねびたれ 04025
年を取る。
よしづき 04025
由緒を感じさせる。