うらもなく待ちきこ 夕顔02章02
目次
原文 読み 意味
うらもなく待ちきこえ顔なる片つ方人を あはれと思さぬにしもあらねど つれなくて聞きゐたらむことの恥づかしければ まづ こなたの心見果てて と思すほどに 伊予介上りぬ
04024/難易度:☆☆☆
うら/も/なく/まち/きこエ/がほ/なる/かたつかた-びと/を あはれ/と/おぼさ/ぬ/に/しも/あら/ね/ど つれなく/て/きき/ゐ/たら/む/こと/の/はづかしけれ/ば まづ こなた/の/こころ/み/はて/て/と/おぼす/ほど/に いよ-の-すけ/のぼり/ぬ まづ/いそぎ/まゐれ/り
表情通りお待ち申している様子をしているもう一方の女である軒端荻のことを、いとしいとお思もいにならないでもないが、表情ひとつ変えず聞いていたりしては居たたまれないので、まず空蝉の気持ちを見極めてからとお思いになっている間に、伊予介が上京してきた。
うらもなく待ちきこえ顔なる片つ方人を あはれと思さぬにしもあらねど つれなくて聞きゐたらむことの恥づかしければ まづ こなたの心見果てて と思すほどに 伊予介上りぬ
大構造と係り受け
古語探訪
うらもなく 04024
気持ちと表情に乖離がないこと。
片つ方人 04024
軒端荻。
あはれ 04024
かわいそうでなく、恋愛感情。
つれなくて聞きゐたらむ 04024
空蝉が軒端荻との間のことを嫉妬もせず、ひと事のように聞いているとすればということ。
こなたの心 04024
空蝉の本心。
見果てて 04024
見極める。すでに結果は出ているが、とことんまで行かないと諦められないのだ。
伊予介 04024
空蝉の夫で、軒端荻の父。任期の途中で上洛したのである。