右近は物もおぼえず 夕顔07章18
目次
原文 読み 意味
右近は 物もおぼえず 君につと添ひたてまつりて わななき死ぬべし また これも いかならむ と 心そらにて捉へたまへり 我一人さかしき人にて 思しやる方ぞなきや
04094/難易度:☆☆☆
うこん/は もの/も/おぼエ/ず きみ/に/つと/そひ/たてまつり/て わななき/しぬ/べし また これ/も/いか/なら/む/と こころ/そら/にて/とらへ/たまへ/り われ/ひとり/さかしき/ひと/にて おぼし/やる/かた/ぞ/なき/や
右近は何もわからず、君にしかとお縋り申して、わななき瀕死の態。またこれもどうなることかと、上の空でつかまえていらっしゃる。しっかりしているのは自分ひとりなのに、思いめぐらす方途さえないとは。
右近は 物もおぼえず 君につと添ひたてまつりて わななき死ぬべし また これも いかならむ と 心そらにて捉へたまへり 我一人さかしき人にて 思しやる方ぞなきや
大構造と係り受け
古語探訪
つと添ひ 04094
「つと」はしっかりと。
わななき死ぬべし 04094
地の文。
またこれもいかならむ 04094
光の心内語。
我一人さかしき人にて 04094
自分ひとりが意識もあり、分別もありだが、逆に頼みになるのも自分しかいないこと。そのひとりの自分が「思しやる方ぞなきや」と途方にくれているのである。
思しやる 04094
解決策を見出そうと思いをめぐらせる。
方ぞなき 04094
解決の方向が見当たらない。
や 04094
詠嘆。