昔の物語などにこそ 夕顔07章12
目次
原文 読み 意味
昔の物語などにこそ かかることは聞け と いとめづらかにむくつけけれど まづ この人いかになりぬるぞ と思ほす心騒ぎに 身の上も知られたまはず 添ひ臥して やや と おどろかしたまへど ただ冷えに冷え入りて 息は疾く絶え果てにけり
04088/難易度:☆☆☆
むかし/の/ものがたり/など/に/こそ かかる/こと/は/きけ/と いと/めづらか/に/むくつけけれ/ど まづ この/ひと/いかに/なり/ぬる/ぞ と/おもほす/こころさわぎ/に みのうへ/も/しら/れ/たまは/ず そひふし/て や や/と おどろかし/たまへ/ど ただ/ひエ/に/ひエ/いり/て いき/は/とく/たエ/はて/に/けり
昔の言い伝えなんかにこそこうしたできごとは聞くがと、とても尋常のことではなく気味がわるいが、先ずこの人はどうなってしまわれたかと思いやりになる心騒ぎで、ご自身に何が起こるかお考えもなく添い臥し、「どうした、おい」と正気を戻そうとなさるが、体はただ冷えに冷えゆき、息はとうに絶え果てていた。
昔の物語などにこそ かかることは聞け と いとめづらかにむくつけけれど まづ この人いかになりぬるぞ と思ほす心騒ぎに 身の上も知られたまはず 添ひ臥して やや と おどろかしたまへど ただ冷えに冷え入りて 息は疾く絶え果てにけり
大構造と係り受け
古語探訪
昔物語 04088
宇多天皇が京極の御所で源融の幽霊を見たという特定の例のみを指すのではないだろう。
身の上も知られたまはず 04088
物の怪に取りつかれた夕顔の側によることは、光自身危険に身をさらすことになるが、それを省みることなくということ。
やや 04088
掛け声。
おどろかし 04088
「我にもあらぬさま」で「物にけどられぬる」状態を揺すり起こすこと。
けり 04088
気づきのけり。