帰り入りて探りたま 夕顔07章09

2021-04-23

原文 読み 意味

帰り入りて 探りたまへば 女君はさながら臥して 右近はかたはらにうつぶし臥したり こはなぞ あな もの狂ほしの物怖ぢや 荒れたる所は 狐などやうのものの 人を脅やかさむとて け恐ろしう思はするならむ まろあれば さやうのものには脅されじ とて 引き起こしたまふ

04085/難易度:☆☆☆

かへり/いり/て さぐり/たまへ/ば をむなぎみ/は/さながら/ふし/て うこん/は/かたはら/に/うつぶし/ふし/たり こは/なぞ あな もの-ぐるほし/の/ものおぢ/や あれ/たる/ところ/は きつね/など/やう/の/もの/の ひと/を/おびやかさ/む/とて け-おそろしう/おもは/する/なら/む まろ/あれ/ば さやう/の/もの/に/は おどさ/れ/じ とて ひき/おこし/たまふ

部屋に戻り様子を探ってごらんになると、女君は前の状態のまま臥しており、右近は傍らにうつ伏していた。「これはどうだ。なんと気違い沙汰の怖がりようだ。荒廃した場所は、狐なんどというものが人を脅かそうとして、何だか恐ろしく思わせるものなんだろう。わたしがいるからは、そんなものには威されんぞ」と、右近を引き起こしになる。

帰り入りて 探りたまへば 女君はさながら臥して 右近はかたはらにうつぶし臥したり こはなぞ あな もの狂ほしの物怖ぢや 荒れたる所は 狐などやうのものの 人を脅やかさむとて け恐ろしう思はするならむ まろあれば さやうのものには脅されじ とて 引き起こしたまふ

大構造と係り受け

古語探訪

さながら 04085

前の状態のまま。

こはなぞ 04085

批判。

もの狂ほしのもの怖ぢや 04085

「もの」は、まさに狂おしいそのもの、怖いそのものの意味。程度が常軌を逸しているのであった、すこしの意味ではない。

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