よしこれも我からな 夕顔06章11
原文 読み 意味
よし これも 我からなめり と 怨みかつは語らひ 暮らしたまふ
04073/難易度:☆☆☆
よし これ/も/われから/な/めり/と うらみ/かつ/は/かたらひ くらし/たまふ
「よいわ。これもわたしのせいだ」と恨みごとを言ったり、語り合ったりしながらお過ごしになる。
よし これも 我からなめり と 怨みかつは語らひ 暮らしたまふ
大構造と係り受け
古語探訪
我から 04073
「海人の刈る藻にすむ虫のわれからと音をこそ泣かめ世をば恨みじ」と考えられているが、源氏の原文「われからなりと恨み」と「恨みじ」は矛盾するため、今ひとつ腑に落ちない。「おきつなみうちよするもにいほりしてゆくへさためぬわれからそこは(大海原に打ち寄せる藻の中に庵を構え、行方定めないのは、われからそうしたのだ)」(元永版古今和歌・読人しらず)を利用し、「宿も定めず」と詠んだが、あなたが「ゆくへさためぬ」理由は、「われから(わたしのせいだ)」と返したのではないか。こちらを取ると、素性を明かせないのはわたしがもともと明かさなかったせいだと意味に加え、こうして家から連れだし、行方定めぬ状態になったのはわたしのせいだの二重の意味をもち得る。「恨み」は恨み言。「暮らし」は時を過ごす。