女さしてその人と尋 夕顔04章08
目次
原文 読み 意味
女 さしてその人と尋ね出でたまはねば 我も名のりをしたまはで いとわりなくやつれたまひつつ 例ならず下り立ちありきたまふは おろかに思されぬなるべし と見れば 我が馬をばたてまつりて 御供に走りありく
04047/難易度:☆☆☆
をむな さして/その/ひと/と/たづねいで/たまは/ね/ば われ/も/なのり/を/し/たまは/で いと/わりなく/やつれ/たまひ/つつ れい/なら/ず/おりたち/ありき/たまふ/は おろか/に/おぼさ/れ/ぬ/なる/べし と/みれ/ば わが/むま/を/ば/たてまつり/て おほむ-とも/に/はしり/ありく
女について、特に素性を尋ねあてるお気持ちがないため、自らも名乗りをされず、不可解なほどひどく地味な姿になられ、いつになく身を入れて歩いてお通いなのは、浮ついたお気持ちでないのだろうと惟光は見て取り、自分の馬を君にさしあげ、お供して走りまわる。
女 さしてその人と尋ね出でたまはねば 我も名のりをしたまはで いとわりなくやつれたまひつつ 例ならず下り立ちありきたまふは おろかに思されぬなるべし と見れば 我が馬をばたてまつりて 御供に走りありく
大構造と係り受け
古語探訪
さして 04047
否定をともない、特にどうこうする気がないことを表す。
いとわりなく 0408047
「わりなし」は「やつれ」具合が理に合わないの意味ととった。「下り立ち」は身を入れる意の慣用句だが、車から地面に下りての本来の意味をかける。
おろかに思されぬ 04047
女に対する思いが浮ついたものでないこと。
わが馬をばたてまつり 04047
惟光の馬ならば、上流貴族が乗っていると思われないだろうとの配慮。いくら何でも主人を歩かせるわけにはゆかないから。