かりにても宿れる住 夕顔04章06
原文 読み 意味
かりにても 宿れる住ひのほどを思ふに これこそ かの人の定め あなづりし下の品ならめ その中に 思ひの外にをかしきこともあらば など 思すなりけり
04045/難易度:☆☆☆
かり/にて/も やどれ/る/すまひ/の/ほど/を/おもふ/に これ/こそ かの/ひと/の/さだめ あなづり/し/しも-の-しな/なら/め その/なか/に おもひ/の/ほか/に/をかしき/こと/も/あら/ば など おぼす/なり/けり
仮住まいであろうとも、宿にしている住まいの程度をはかってみるに、これこそあの中将が品定めで侮った下の品であろうが、その中にめっけものでもあればなどとお思いになるのだった。
かりにても 宿れる住ひのほどを思ふに これこそ かの人の定め あなづりし下の品ならめ その中に 思ひの外にをかしきこともあらば など 思すなりけり
大構造と係り受け
古語探訪
こそ…ならめ 04045
こそ+已然形はその下に逆接で続いてゆく。
かの人の定めあなづりし下の品 04045
「かの人」は頭中将。「下のきざみといふ際になればこと耳立たずかし」(『帚木』)とあった。「定め」は、定めたのか、定めにおいてなのか決定しづらい。文法的には前の方が自然だが、下の品は頭中将が定めたとは言いがたいので、頭中将が品定めにおいて侮った下の階級と考えておく。