女もいとあやしく心 夕顔04章10
原文 読み 意味
女も いとあやしく心得ぬ心地のみして 御使に人を添へ 暁の道をうかがはせ 御在処見せむと尋ぬれど そこはかとなくまどはしつつ さすがに あはれに見ではえあるまじく この人の御心にかかりたれば 便なく軽々しきことと 思ほし返しわびつつ いとしばしばおはします
04049/難易度:☆☆☆
をむな/も いと/あやしく/こころえ/ぬ/ここち/のみ/し/て おほむ-つかひ/に/ひと/を/そへ あかつき/の/みち/を/うかがは/せ おほむ-ありか/みせ/む/と/たづぬれ/ど そこはかとなく/まどはし/つつ さすがに あはれ/に/み/で/は/え/ある/まじく この/ひと/の/みこころ/に/かかり/たれ/ば びんなく/かろがろしき/こと/と おもほし/かへし/わび/つつ いと/しばしば/おはします
女もまったく怪しく納得のいかない気持ちばかりして、君の御使者に人をつけ、朝帰りの帰路を探らせたり、お住まいをつきとめようと調べてみるが、そことはわからぬようにごまかしながらも、さすがに、いとしく思わないではいられなくて、この女が御心にかかって離れないので、困りものの浮ついた気持ちだと、思い返しお嘆きになりながらも、じつに足しげく女のいらっしゃる。
女も いとあやしく心得ぬ心地のみして 御使に人を添へ 暁の道をうかがはせ 御在処見せむと尋ぬれど そこはかとなくまどはしつつ さすがに あはれに見ではえあるまじく この人の御心にかかりたれば 便なく軽々しきことと 思ほし返しわびつつ いとしばしばおはします
大構造と係り受け
古語探訪
見せむ 04049
「見せ」は「見す」で、御使者につけた「人」に様子を調べさせるの意味。「うかがはせ」と「見せ」が並列で「む」にかかる。
そこはか 04049
そこはどこか(何か)の意味。
この人の 04049
主格で「懸り」にかかる。
便なく 04049
自分に関しては不都合でなく、困ったの意味。
いとめやすくしづめたまひて 04049
前の「乱るるをりもある」と対比される。人から妙に見られぬようたかぶる恋心を抑えること。