をかしげなる侍童の 夕顔03章07
目次
原文 読み 意味
をかしげなる侍童の 姿このましう ことさらめきたる 指貫 裾 露けげに 花の中に混りて 朝顔折りて参るほどなど 絵に描かまほしげなり
04037/難易度:☆☆☆
をかしげ/なる/さぶらひわらは/の すがた/このましう ことさら/めき/たる さしぬき すそ つゆけげ/に はな/の/なか/に/まじり/て あさがほ/をり/て/まゐる/ほど/など ゑ/に/かか/まほしげ/なり
かわいらしい侍童が、美しい姿が映えるように特別に仕立てたような指貫の裾を露に濡らせながら、花の中にまじって朝顔を折って光の君に差し上げる様子などは、絵に描いてみたい趣きである。
をかしげなる侍童の 姿このましう ことさらめきたる 指貫 裾 露けげに 花の中に混りて 朝顔折りて参るほどなど 絵に描かまほしげなり
大構造と係り受け
古語探訪
侍童の 04037
「の」は主格で「折りてまゐる」にかかる。
ことさらめきたる指貫 04037
特別仕立てのような指貫。指貫は袴の一種で、足首のあたりをひもでくくる。
朝顔折りて参る 04037
この見送りの場面全体が、夕顔とのなれ初めである、盆の上の夕顔の花を載せて光にさしあげた場面を意識した変奏部である。片や下の下の階層、片や上の上の階層であり、にもかかわらず、どちらの主人も表面に現れず、花をシンボリックに歌の交換が行われるなど、多くの類似点が隠されている。