さすがに絶えて思ほ 夕顔02章07
原文 読み 意味
さすがに 絶えて思ほし忘れなむことも いと言ふかひなく 憂かるべきことに思ひて さるべき折々の御答へなど なつかしく聞こえつつ なげの筆づかひにつけたる言の葉 あやしくらうたげに 目とまるべきふし加へなどして あはれと思しぬべき人のけはひなれば つれなくねたきものの 忘れがたきに思す
04029/難易度:☆☆☆
さすがに たエ/て/おもほし/わすれ/な/む/こと/も いと/いふかひなく うかる/べき/こと/に/おもひ/て さるべき/をりをり/の/おほむ-いらへ/など なつかしく/きこエ/つつ なげ/の/ふでづかひ/に/つけ/たる/ことのは あやしく/らうたげ/に め/とまる/べき/ふし/くはへ/など/し/て あはれ/と/おぼし/ぬ/べき/ひと/の/けはひ/なれ/ば つれなく/ねたき/もの/の わすれ/がたき/に/おぼす
さすがに、すっかり君の愛情がなくなりお忘れになることも、名状しがたくつらいことであろうと思って、しかるべき折々のご返事など、親しみをこめて申し上げつつ、さりげない筆遣いの歌に、不思議と可愛らしく心をひきつける表現を交えたりして、いとしいと君がお思もいにならずにおかない人柄なので、冷たく癪に障るものの、わすれがたくお思いになる。
さすがに 絶えて思ほし忘れなむことも いと言ふかひなく 憂かるべきことに思ひて さるべき折々の御答へなど なつかしく聞こえつつ なげの筆づかひにつけたる言の葉 あやしくらうたげに 目とまるべきふし加へなどして あはれと思しぬべき人のけはひなれば つれなくねたきものの 忘れがたきに思す
大構造と係り受け
古語探訪
なげ 04029
何もないように、さりげなく。
言の葉 04029
和歌。
あはれと思しぬべき人 04029
光から愛されるに違いない人。