このほどまでは漂ふ 夕顔14章05
原文 読み 意味
このほどまでは漂ふなるを いづれの道に定まりて赴くらむ と思ほしやりつつ 念誦をいとあはれにしたまふ
04171/難易度:☆☆☆
この/ほど/まで/は/ただよふ/なる/を いづれ/の/みち/に/さだまり/て/おもむく/らむ と/おもほしやり/つつ ねんず/を/いと/あはれ/に/し/たまふ
この頃まで魂は中有(ちゅうう)をさまようというが、六道のどの道へ進むと決まって行くのだろうと、思いやりになられながら、念仏読経をいとしさをこめて行いになる。
このほどまでは漂ふなるを いづれの道に定まりて赴くらむ と思ほしやりつつ 念誦をいとあはれにしたまふ
大構造と係り受け
古語探訪
このほどまでは漂ふなる 04171
四十九日まで魂が中有をさまようこと。「なる」は伝聞。
いづれの道に定まりて 04171
生前の行いにより、死後、地獄・餓鬼・畜生・修羅・人間・天人へ向う六つの世界に生まれ変わるが、そのうちのコースに行くことに定まったのかということ。「あいなく」は、頭中将にばれていないのだから、胸騒ぎする必要もないのに胸騒ぎするとの意味。