ほの聞く女房などあ 夕顔10章07
原文 読み 意味
ほの聞く女房など あやしく 何ごとならむ 穢らひのよしのたまひて 内裏にも参りたまはず また かくささめき嘆きたまふ と ほのぼのあやしがる
04115/難易度:☆☆☆
ほの-きく/にようばう/など あやしく なにごと/なら/む けがらひ/の/よし/のたまひ/て うち/に/も/まゐり/たまは/ず また かく/ささめき/なげき/たまふ/と ほのぼの/あやしがる
何かあるなと、もれ聞く女房などは、「変だわ、なにごとかしら。穢れにあった旨をおっしゃって、宮中にも参内なさらない、そのうえ、あのようにひそひそと話してお嘆きになる」と、隠し事があるなと不審がる。
ほの聞く女房など あやしく 何ごとならむ 穢らひのよしのたまひて 内裏にも参りたまはず また かくささめき嘆きたまふ と ほのぼのあやしがる
大構造と係り受け
古語探訪
ほの聞く 04115
「ほの」は、漏れた部分が少なく、その隠れている部分に関心が向っている時に使われる表現。
ささめき 04115
ひそひそ話す。他人を意識して声をひそめている場合。これに対して「ささやく」は、 小声で話すことに違いはなくとも、人に聞かれぬようにという意識はない。
ほのぼのあやしがる 04115
「ほの」に同じ。すこしだけ怪しく思うのではなく、わかる部分が少ないだけに、わからない部分に大きく興味をもって怪しんでいるのである。「ほの」はなかなかつかみにくい語であるが、この二例からその語感をつかんでほしい。