大徳たちも誰とは知 夕顔10章15
原文 読み 意味
大徳たちも 誰とは知らぬに あやしと思ひて 皆 涙落としけり
04123/難易度:☆☆☆
だいとこ-たち/も たれ/と/は/しら/ぬ/に あやし/と/おもひ/て みな なみだ/おとし/けり
高徳の僧たちも、誰の葬儀とも知らぬのに、不思議と気持ちが動いて、みな涙を落とすのだった。
大徳たちも 誰とは知らぬに あやしと思ひて 皆 涙落としけり
大構造と係り受け
古語探訪
誰とも知らぬ 04123
死者の夕顔や通夜にきた光のことを誰か知らない。惟光が先に「さらぬ法師ばらなどにも、みな言ひなすさまことにはべる(そうでない法師たちにも、真実とは違う別の作り事をつたえた)」とあった。「あやしと思ひて」の「て」は順接だから、「あやし」は訝るの意味ではない。死者に訴えかける光の言葉を聞いて、僧侶たちも自分でもわからないほど同情してということ。ここでの「あやし」は不思議なほど気持ちがひきつけられるとの意味である。
けり 04123
詠嘆。