日暮れて惟光参れり 夕顔10章01
原文 読み 意味
日暮れて 惟光参れり かかる穢らひありとのたまひて 参る人びとも 皆立ちながらまかづれば 人しげからず 召し寄せて いかにぞ 今はと見果てつや とのたまふままに 袖を御顔に押しあてて泣きたまふ 惟光も泣く泣く
04109/難易度:☆☆☆
ひ/くれ/て これみつ/まゐれ/り かかる/けがらひ/あり/と/のたまひ/て まゐる/ひとびと/も みな/たち/ながら/まかづれ/ば ひと/しげから/ず めし/よせ/て いかに/ぞ いまは/と/み/はて/つ/や と/のたまふ/まま/に そで/を/おほむ-かほ/に/おし-あて/て/なき/たまふ これみつ/も/なくなく
日が暮れて、惟光が参った。かような穢れにあったとおっしゃるので、見舞いにあがった人々も、みな着座することなく早々にさがってゆくから、邸内はしんとして人気が少ない。惟光を召し寄せになって、「どうであった。もうこれまでかと最後まで見届けたか」とお問いになりながらも袖をお顔に押し当ててお泣きになる。惟光も泣きに泣きながら、
日暮れて 惟光参れり かかる穢らひありとのたまひて 参る人びとも 皆立ちながらまかづれば 人しげからず 召し寄せて いかにぞ 今はと見果てつや とのたまふままに 袖を御顔に押しあてて泣きたまふ 惟光も泣く泣く
大構造と係り受け
古語探訪
のたまひて 04109
主体は光。見舞客ではない。
立ちながら 04109
立ったまますぐに。
今はと 04109
これで最後だなと見極めのつくところまで。