かの下が下と人の思 夕顔01章22
原文 読み 意味
かの 下が下と 人の思ひ捨てし住まひなれど その中にも 思ひのほかに口惜しからぬを見つけたらばと めづらしく思ほすなりけり
04022/難易度:☆☆☆
かの しも-が-しも/と ひと/の/おもひ/すて/し/すまひ/なれ/ど その/なか/に/も おもひ/の/ほか/に/くちをしから/ぬ/を/みつけ/たら/ば/と めづらしく/おもほす/なり/けり
雨夜の品定めで、下の下は耳にもとまらないと頭中将が切り捨てた住まいであるが、その中にも、思いのほかにがっかりさせられることのないいい女を見つけられたならばと、ふだんと違うお考えになるのだった。
かの 下が下と 人の思ひ捨てし住まひなれど その中にも 思ひのほかに口惜しからぬを見つけたらばと めづらしく思ほすなりけり
大構造と係り受け
古語探訪
かの下が下と人の思ひ捨てし 04022
「下のきざみといふ際になれば、ことに耳立たずかし」との頭中将の返事を受ける。
めづらしく思ほす 04022
「めづらし」はめったにないの意味。「形容詞の連用形+思ふ」は二通りの意味になりえ、「めづらし」と思うの意味と、そう思うのは「めずらし」の意味の両方になりえる。しかし、「思ほす」の対象は「その中にも思ひのほかに口惜しからぬを見つけたらばと」と先にあるため、そんな風に君が思うことは珍しいケースであったとの意味になる。すなわち、光が下々の女に興味を抱くことを「めづらし」と言っているのである。雨夜の品定めで光が上流以外の女性に興味を持つようになったと言われているが、そうではないことは繰り返し述べてきた。夕顔は特別な例外であることがこの「めづらし」からも知れるのである。