今日もこの蔀の前渡 夕顔01章16
原文 読み 意味
今日もこの蔀の前渡りしたまふ 来し方も過ぎたまひけむわたりなれど ただはかなき一ふしに御心とまりて いかなる人の住み処ならむ とは 往き来に御目とまりたまひけり
04016/難易度:☆☆☆
けふ/も/この/しとみ/の/まへわたり/し/たまふ きしかた/も/すぎ/たまひ/けむ/わたり/なれ/ど ただ/はかなき/ひとふし/に/みこころ/とまり/て いかなる/ひと/の/すみか/なら/む と/は ゆきき/に/おほむ-め/とまり/たまひ/けり
今日もまたこの蔀の前を通りすぎてゆかれる。以前もお通りになった場所であるが、ただ何ということない一事で記憶にとどまり、どのような人の住みかであろうかと、行き来のたびに、お目がとまるのであった。
今日もこの蔀の前渡りしたまふ 来し方も過ぎたまひけむわたりなれど ただはかなき一ふしに御心とまりて いかなる人の住み処ならむ とは 往き来に御目とまりたまひけり
大構造と係り受け
古語探訪
今日も 04016
日が変って、今日もまたの意味。朝帰りから幾日が立つ。
はかなき一ふし 04016
歌をやりとりした一件。それにより、二人の関係が深まったわけではない点が「はかなき」である。