御心ざしの所には木 夕顔01章14
原文 読み 意味
御心ざしの所には 木立 前栽など なべての所に似ず いとのどかに心にくく住みなしたまへり うちとけぬ御ありさまなどの 気色ことなるに ありつる垣根 思ほし出でらるべくもあらずかし
04014/難易度:☆☆☆
みこころざし/の/ところ/に/は こだち/せんさい/など なべて/の/ところ/に/に/ず いと/のどか/に/こころにくく/すみ/なし/たまへ/り うちとけ/ぬ/おほむ-ありさま/など/の けしき/こと/なる/に ありつる/かきね/おもほし/いで/らる/べく/も/あら/ず/かし
お目当ての場所には、木立、植込みなど、そこらの場所に似ず、たいそうゆったりと奥ゆかしく住みなしておられる。凛々とした存在感などがあまりに様子が違うので、先刻までいた垣根のことなど思い出されもしないことだ。
御心ざしの所には 木立 前栽など なべての所に似ず いとのどかに心にくく住みなしたまへり うちとけぬ御ありさまなどの 気色ことなるに ありつる垣根 思ほし出でらるべくもあらずかし
大構造と係り受け
古語探訪
御心ざしの所 04014
目的の場所、すなわち、六条御息所の住みか。
気色ことなるに 04014
「思ほし出でらるべくもあらず」の原因になっている。御息所の住みかと夕顔の住みかがあまりに隔てがあるため、思い出すきっかけがないこと、また御息所があまりにぴりぴりしていて、よそへ気持ちをむける余裕が光にないことを言うのであろう。