御前駆の松明ほのか 夕顔01章13
目次
原文 読み 意味
御前駆の松明ほのかにて いと忍びて出でたまふ 半蔀は下ろしてけり 隙々より見ゆる灯の光 蛍よりけにほのかにあはれなり
04013/難易度:☆☆☆
おほむ-さき/の/まつ/ほのか/にて いと/しのび/て/いで/たまふ はじとみ/は/おろし/て/けり ひまひま/より/みゆる/ひ/の/ひかり ほたる/より/けに/ほのか/に/あはれ/なり
先払いの松明ほのかに、たいそう忍びて出てゆかれる。半蔀はすでに下ろしてあった。そこここから洩れる灯の光は、蛍よりも実にほのかで、いとしいものであった。
御前駆の松明ほのかにて いと忍びて出でたまふ 半蔀は下ろしてけり 隙々より見ゆる灯の光 蛍よりけにほのかにあはれなり
大構造と係り受け
古語探訪
半蔀は下ろしてけり 04013
家に入る前に半蔀が上げわたしてあって、そこから「をかしき額つきの透影あまた見えてのぞく」とあり、今もそれらがこちらをうかがっているだろうと期待したのだが、あてが外れたのである。
蛍よりけにほのかに 04013
「けに」は格段に。「ほのか」は見える部分はか細いがその後への興味が大きいことを指す。蛍より光が格段に弱いが格段に興味がそそられるのである。
あはれ 04013
恋しいの意味。