花のとがめをなほあ 末摘花09章11
目次
原文 読み 意味
花のとがめを なほあるやうあらむと 思ひ合はする折々の 月影などを いとほしきものから をかしう思ひなりぬ
06141/難易度:☆☆☆
はな/の/とがめ/を なほ/ある/やう/あら/む/と おもひ/あはする/をりをり/の つきかげ/など/を いとほしき/ものから をかしう/おもひ/なり/ぬ
花をお咎めになるのは、やはり理由のあることだろうと考えてみると、思い合わされたのは折々に月明かりで見かけた姫君のご様子で、気の毒に思いながらもおかしみがこみ上げてくるのだった。
花のとがめを なほあるやうあらむと 思ひ合はする折々の 月影などを いとほしきものから をかしう思ひなりぬ
大構造と係り受け
古語探訪
花のとがめ 06141
「の」は目的格で、光源氏が花をとがめること。花は紅花(末摘花)。
なほ 06141
「直」が原義。まっすぐつきすすむこと。光源氏が紅花を非難する理由は不明ながら、それなりの理由があるのだろうと、ぶれずに考え続けると、思い合わされることに気付いたという感覚。
あるやう 06141
「有り様」からの変化。事情。わけ。
月影など 06141
月光下に見かけた末摘花の鼻の色。
いとほしき 06141
心を痛めるが原義。気の毒に思うなど。
ものから 06141
逆接を表す。…ものの。
思ひなりぬ 06141
「なる」は変化。「いとほし」から「をかし」に感情が変化したことを指す。「ぬ」は動作の完了。