まだほの暗けれど雪 末摘花08章03

2021-05-12

原文 読み 意味

まだほの暗けれど 雪の光にいとどきよらに若う見えたまふを 老い人ども笑みさかえて見たてまつる
はや出でさせたまへ あぢきなし 心うつくしきこそ など教へきこゆれば さすがに 人の聞こゆることをえいなびたまはぬ御心にて とかう引きつくろひて ゐざり出でたまへり

06109/難易度:☆☆☆

まだ/ほの-くらけれ/ど ゆき/の/ひかり/に/いとど/きよら/に/わかう/みエ/たまふ/を おイびと-ども/ゑみ/さかエ/て/み/たてまつる はや/いで/させ/たまへ あぢきなし こころ/うつくしき/こそ など/をしへ/きこゆれ/ば さすがに ひと/の/きこゆる/こと/を/え/いなび/たまは/ぬ/みこころ/にて とかう/ひき-つくろひ/て ゐざり/いで/たまへ/り

まだほの暗いけれども、君は雪の光をあびて、ますますきよらに若くお見えになるので、年配の女房たちは歓喜し満面に笑みをたたえ見惚れ申し上げる。「はやくお出ましなさいませ。わからないお方。素直なのが何より」などと女房たちが教え申し上げると、気は進まぬながらさすがに、人がすすめる意見をはねつけになれないご気性のため、あれこれ身繕いをして、君のもとにいざり出て行かれた。

まだほの暗けれど 雪の光にいとどきよらに若う見えたまふを 老い人ども笑みさかえて見たてまつる
はや出でさせたまへ あぢきなし 心うつくしきこそ など教へきこゆれば さすがに 人の聞こゆることをえいなびたまはぬ御心にて とかう引きつくろひて ゐざり出でたまへり

大構造と係り受け

古語探訪

雪の光にいとどきよらに 06109

「光」と「きよら」は一種の縁語であり、光を形容する基調。この世の者とは思えない神々しさをふくむ。

笑みさかえ 06109

「さかえ」は咲くと同根、生命力をみなぎらせること。輝かしい光のこの世の者とは思われぬうつくしさに触れ、満面に笑みをたたえ歓喜している。光の光りは後光のイメージと重なっている。

あぢきなし 06109

光の誘いに物怖じしている女君のものわかりの悪さに対する非難。

心うつくしき 06109

素直さ、従順さ。

教へきこゆれ 06109

女房たちが女君に教える。

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