隅の間ばかりにぞい 末摘花07章04

2021-05-12

原文 読み 意味

隅の間ばかりにぞ いと寒げなる女ばら 白き衣のいひしらず煤けたるに きたなげなる褶引き結ひつけたる腰つき かたくなしげなり さすがに櫛おし垂れて挿したる額つき 内教坊 内侍所のほどに かかる者どもあるはやと をかし かけても 人のあたりに近うふるまふ者とも知りたまはざりけり

06099/難易度:☆☆☆

すみ/の/ま/ばかり/に/ぞ いと/さむげ/なる/をむな-ばら しろき/きぬ/の/いひ/しら/ず/すすけ/たる/に きたなげ/なる/しびら/ひき-ゆひ/つけ/たる/こしつき かたくなしげ/なり さすがに/くし/おし-たれ/て/さし/たる/ひたひつき ないけうばう ないしどころ/の/ほど/に かかる/もの-ども/ある/は/や/と をかし かけて/も ひと/の/あたり/に/ちかう/ふるまふ/もの/と/も/しり/たまは/ざり/けり

隅の間ばかしにたいそう寒そうにしている女どもは、白い衣の言いようもなく煤けたのを着た上に、褶をくくりつけている腰の様子など、みっともなく愚かな感じである。そうは言っても、櫛をずれ落ちそうにしながらも挿している額の様子は、内教坊や内侍所なんかに、こんな格好の女房などいそうではないかと、面白がる。どうしたって、これが姫のお側近くに仕える女房たちだとは、思いも寄らないことであった。

隅の間ばかりにぞ いと寒げなる女ばら 白き衣のいひしらず煤けたるに きたなげなる褶引き結ひつけたる腰つき かたくなしげなり さすがに櫛おし垂れて挿したる額つき 内教坊 内侍所のほどに かかる者どもあるはやと をかし かけても 人のあたりに近うふるまふ者とも知りたまはざりけり

大構造と係り受け

古語探訪

隅の間ばかり 06099

ちょっとわたしとしては解釈が詰め切れていない。おそらく部屋の隅の空間なのか、「隅の間」という部屋なのか、おそらく後者だと思うが。「ばかり」は、なんかにというニュアンス。「だけ」という限定ではない。

褶(しびら) 06099

裳の一種。礼装の度が高い。この時間帯、姫の側で仕えていない女房であれば、もっとラフな格好をしていても良さそうなものである。

かたくなしげなり 06099

不格好であるとの意味が、単に格好が悪いの意味ではなく、もともとは、頑な、頑迷などの意味であり、昔からの変わりなさに対する批判が籠もる表現である。

内教坊 06099

舞楽の練習所。

内侍所 06099

三種の神器である鏡を納めている場所、ともに古式を今に残す空間である。

かけても 06099

否定と呼応し、強い否定を現す。

人のあたりに 06099

姫のまわり。光は、命婦を通して末摘花に近づいたが、命婦は光つきの命婦であり、末摘花の女房でない。ここで初めて、末摘花の舞台裏、裏事情をかいま見るのである。

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