二条院におはしてう 末摘花06章01

2021-05-12

原文 読み 意味

二条院におはして うち臥したまひても なほ思ふにかなひがたき世にこそ と 思しつづけて 軽らかならぬ人の御ほどを 心苦しとぞ思しける

06072/難易度:☆☆☆

にでうのゐん/に/おはし/て うち-ふし/たまひ/て/も なほ/おもふ/に/かなひ/がたき/よ/に/こそ/と おぼし/つtづけ/て かるらか/なら/ぬ/ひと/の/おほむ-ほど/を こころぐるし/と/ぞ/おぼし/ける

君は二条院に戻られ、横におなりになっても、やはり望み通りにはゆきかねる世の中だなと思い続けになり、軽々しくないご身分がいたわしいとお感じであった。

二条院におはして うち臥したまひても なほ思ふにかなひがたき世にこそ と 思しつづけて 軽らかならぬ人の御ほどを 心苦しとぞ思しける

大構造と係り受け

古語探訪

二条院 06072

光の自邸。

なほ 06072

諸注の通り「かなひがたき」にかけて、光の心内語とする。戻ってもなおの意味で、「思しつづけ」にかけることも可能ではある。

思ふにかなひがたき世 06072

亡き夕顔の身代わりとして末摘花に近づいたのに、まったく幻滅に終わったことをいう。

軽らかならぬ人の御ほど 06072

末摘花の高い身分。

心苦し 06072

人に対しては気の毒だとか守ってあげたいなどになり、自分に対しては面倒だなどとなる。ある状況に対して胸が痛むが原義。この場合、「心苦し」は相手の身分なのか、自分の思いなのかを考えることになる。相手の身分が軽くないことに対して「心苦し」ではなく、相手の身分が軽くないために自分が「心苦し」と考えるのが自然であろう。次の「思ひ乱れ」という表現はより考え、「心苦し」は気の毒ではなく、胸が痛むの意味であろう。

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