ありさま聞こえてい 末摘花06章20

2021-05-12

原文 読み 意味

ありさま聞こえて いとかう もて離れたる御心ばへは 見たまふる人さへ 心苦しくなど 泣きぬばかり思へり

06091/難易度:☆☆☆

ありさま/きこエ/て いと/かう もて-はなれ/たる/みこころばへ/は み/たまふる/ひと/さへ こころぐるしく など なき/ぬ/ばかり/おもへ/り

命婦は姫君のご様子を申し上げて、「なんともまあこんなに距離のあるご愛情は、そばで見ております者まで、胸が痛くて」など、泣かぬばかりの心配よう。

ありさま聞こえて いとかう もて離れたる御心ばへは 見たまふる人さへ 心苦しくなど 泣きぬばかり思へり

大構造と係り受け

古語探訪

見たまふる人さへ 06091

下二段活用だから、普通は、側で末摘花の世話をしている人、つまり、女房たちを意味するが、命婦は末摘花のもとに出入りすることがあるだけで、末摘花の女房ではない。従って、ここは、端で見ている者さえの意味となる。先に述べたが、(わたしの読みでは)この命婦と光はおそらく愛人関係にあると想像される。この関係がこの段でも匂わされている感じがする。

心苦しく 06091

他人の不幸を自分に置きかけ、こちらまで胸が痛むとの意味。つまり、自分は部外者であるが、それでも光のやり方は身につまされるとの意味。

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