ありさま聞こえてい 末摘花06章20
原文 読み 意味
ありさま聞こえて いとかう もて離れたる御心ばへは 見たまふる人さへ 心苦しくなど 泣きぬばかり思へり
06091/難易度:☆☆☆
ありさま/きこエ/て いと/かう もて-はなれ/たる/みこころばへ/は み/たまふる/ひと/さへ こころぐるしく など なき/ぬ/ばかり/おもへ/り
命婦は姫君のご様子を申し上げて、「なんともまあこんなに距離のあるご愛情は、そばで見ております者まで、胸が痛くて」など、泣かぬばかりの心配よう。
ありさま聞こえて いとかう もて離れたる御心ばへは 見たまふる人さへ 心苦しくなど 泣きぬばかり思へり
大構造と係り受け
古語探訪
見たまふる人さへ 06091
下二段活用だから、普通は、側で末摘花の世話をしている人、つまり、女房たちを意味するが、命婦は末摘花のもとに出入りすることがあるだけで、末摘花の女房ではない。従って、ここは、端で見ている者さえの意味となる。先に述べたが、(わたしの読みでは)この命婦と光はおそらく愛人関係にあると想像される。この関係がこの段でも匂わされている感じがする。
心苦しく 06091
他人の不幸を自分に置きかけ、こちらまで胸が痛むとの意味。つまり、自分は部外者であるが、それでも光のやり方は身につまされるとの意味。