これをいかでかはか 末摘花09章06

2021-05-13

原文 読み 意味

これを いかでかは かたはらいたく思ひたまへざらむ されど 朔日の御よそひとて わざとはべるめるを はしたなうはえ返しはべらず ひとり引き籠めはべらむも 人の御心違ひはべるべければ 御覧ぜさせてこそは と聞こゆれば

06136/難易度:☆☆☆

これ/を いかでかは かたはらいたく/おもひ/たまへ/ざら/む されど ついたち/の/おほむ-よそひ/とて わざと/はべる/める/を はしたなう/は/え/かへし/はべら/ず ひとり/ひき-こめ/はべら/む/も ひと/の/みこころ/たがひ/はべる/べけれ/ば ごらんぜ/させ/て/こそ/は と/きこゆれ/ば

「これを人ごとながら、どうしてひやひやしないでおられましょう。とはいえ、元日の御衣装として特にご用意なさったものを、ぶしけにお返しもなりません。わたくし一存で隠しおきますことも、姫のお気持ちにそむくましょうため、ごらんに入れました上で」と申し上げると、

これを いかでかは かたはらいたく思ひたまへざらむ されど 朔日の御よそひとて わざとはべるめるを はしたなうはえ返しはべらず ひとり引き籠めはべらむも 人の御心違ひはべるべければ 御覧ぜさせてこそは と聞こゆれば

大構造と係り受け

古語探訪

かたはらいたく 06136

そばではらはらすること。正月の衣装は正妻が調えるものであって、末摘花のすべきことではない。

はしたなう 06136

無礼にも。

人の御心 06136

尊敬語があるので、一般的な言い方をしながら末摘花の気持ちを指している。

ご覧ぜさせてこそは 06136

ともあれご覧にいれようとの意味とも、ともあれご覧に入れた上でことを決めようの意味にもなるが、ここでは後者と考えるのが、命婦の気持ちに添うだろう。

Posted by 管理者