わが常に責められた 末摘花05章12
原文 読み 意味
わが常に責められたてまつる罪さりごとに 心苦しき人の御もの思ひや出でこむ など やすからず思ひゐたり
06060/難易度:☆☆☆
わが/つね/に/せめ/られ/たてまつる/つみ/さり/ごと/に こころぐるしき/ひと/の/おほむ-ものおもひ/や/いで/こ/む など やすから/ず/おもひ/ゐ/たり
常々姫君への逢瀬の催促をされる責任逃れに、こういう事態を招いて、姫君のお気の毒な物思いが生じることになろうかと、不安な気持ちで控えている。
わが常に責められたてまつる罪さりごとに 心苦しき人の御もの思ひや出でこむ など やすからず思ひゐたり
大構造と係り受け
古語探訪
責められたてまつる 06060
「られ」は受け身、「たてまつる」は、催促されること自体は命婦が対象であるが、そのベクトルは姫君に向かっているため、心理的に対象敬語が使われているのであろう、そのまま読めば責められている対象である命婦に敬意が向かうがそうではない。
心苦しき人の御もの思ひ 06060
「心苦しき」は「人の」ではなく「(人の)御もの思ひ」にかかる。光との恋愛を通して、物思いが生じることを心配しているのである。それは、世間で名高い貴公子である光との恋愛の結末が悲恋に終わるであろうと予想されるからである。