若き人二三人あるは 末摘花05章10
目次
原文 読み 意味
若き人 二 三人あるは 世にめでられたまふ御ありさまを ゆかしきものに思ひきこえて 心げさうしあへり よろしき御衣たてまつり変へ つくろひきこゆれば 正身は 何の心げさうもなくておはす
06058/難易度:☆☆☆
わかき/ひと に さむにん/ある/は よ/に/めで/られ/たまふ/おほむ-ありさま/を ゆかしき/もの/に/おもひ/きこエ/て こころげさう/し/あへ/り よろしき/おほむ-ぞ/たてまつり/かへ つくろひ/きこゆれ/ば さうじみ/は なに/の/こころげさう/も/なく/て/おはす
若い女房は二三人残っており、それらは世に褒めそやされる源氏の君のお姿をただもう見たいと思い申し上げて、胸をときめかせながら気をひきしめている。最上とはゆかぬがそれなりに見栄えするお召物に着替え申し上げ、身綺麗にして差し上げるに、ご当人は、何の気持ちの張りもなくいらっしゃる。
若き人 二 三人あるは 世にめでられたまふ御ありさまを ゆかしきものに思ひきこえて 心げさうしあへり よろしき御衣たてまつり変へ つくろひきこゆれば 正身は 何の心げさうもなくておはす
大構造と係り受け
古語探訪
若き人二三人あるは 06058
若い女房で二三人残ったのはの意味。
世にめでられたまふ御ありさま 06058
世間で評判の光の姿。
心げさうしあへり 06058
「心げさう」は、心を化粧した状態にすることで、緊張でわくわくすること。「……しあへり」は、互いに……する意味と、すっかり……するの意味になるが、互いに緊張しあったは意味がないので、ここは後者。
つくろひ 06058
対象が不明だが、「何の心けさうもなく」と対比関係にあるので、おそらく、顔をつくろうこと、つまり、化粧をすることが中心になるだろう。
正身 06058
当人の意味。