簀子などは便なうは 末摘花05章08
目次
原文 読み 意味
簀子などは便なうはべりなむ おしたちて あはあはしき御心などは よも など いとよく言ひなして 二間の際なる障子 手づからいと強く鎖して 御茵うち置きひきつくろふ
06056/難易度:☆☆☆
すのこ/など/は/びんなう/はべり/な/む おしたち/て あはあはしき/みこころ/など/は よも など いと/よく/いひ/なし/て ふたま/の/きは/なる/さうじ てづから/いと/つよく/さし/て おほむ-しとね/うち-おき/ひきつくろふ
「簀子などにお迎えするのは、どうかと存じます。無理やり軽々しいことをなさるお気持ちなどはよもありますまい」などとじつにうまく説き伏せて、ふたつある廂と母屋の合間の障子の錠を手ずから厳重におろして、君用の敷物を敷いて御座をととのえる。
簀子などは便なうはべりなむ おしたちて あはあはしき御心などは よも など いとよく言ひなして 二間の際なる障子 手づからいと強く鎖して 御茵うち置きひきつくろふ
大構造と係り受け
古語探訪
簀子などは便なうはべりなむ 06056
格子を降ろしてほしいとは、光を格子の外、すなわち、簀子にいさせるつもりで末摘花はいたが、それでは失礼だと、無理を言って、廂に通させる。命婦が手引きさえすれば、廂から末摘花のいる母屋に侵入することはたやすい。
おしたちて 06056
相手の意向を無視して無理無体に。
あはあはしき 06056
軽はずみな。
二間の際なる障子 06056
「二間」とは、ふたつ「間」のあること。「間」は、柱と柱の間で、廂には柱と柱の間(すなわち、ここが出入り口になる)が一つあるものと、ふたつあるものとがある。「際」は、母屋と廂の間。全体では、母屋と廂の境にある二つの障子ということ。
御茵 06056
その上に座る敷物で、今の座布団の役割をする。