いかなるやうぞいと 末摘花04章02
原文 読み 意味
いかなるやうぞ いとかかる事こそ まだ知らね と いとものしと思ひてのたまへば いとほしと思ひて
もて離れて 似げなき御事とも おもむけはべらず ただ おほかたの御ものづつみのわりなきに 手をえさし出でたまはぬとなむ見たまふる と聞こゆれば
06044/難易度:☆☆☆
いかなる/やう/ぞ いと/かかる/こと/こそ まだ/しら/ね と いと/ものし/と/おもひ/て/のたまへ/ば いとほし/と/おもひ/て もて-はなれ/て にげなき/おほむ-こと/と/も おもむけ/はべら/ず ただ おほかた/の/おほむ-ものづつみ/の/わりなき/に て/を/え/さし-いで/たまは/ぬ/と/なむ/み/たまふる と/きこゆれ/ば
「どんな仔細があるんだ。まったくこんな事態こそ味わったこともない」と、ひどく不快に思っておっしゃられるので、命婦は申し訳ないと思って、「引きも合わぬ、不釣り合いお話だなどと、姫様に申してもございません。ただ、いつものご遠慮の深さが度を超して、お手紙もお書きにならないのだと存じます」と申し上げると、
いかなるやうぞ いとかかる事こそ まだ知らね と いとものしと思ひてのたまへば いとほしと思ひて
もて離れて 似げなき御事とも おもむけはべらず ただ おほかたの御ものづつみのわりなきに 手をえさし出でたまはぬとなむ見たまふる と聞こゆれば
大構造と係り受け
古語探訪
いかなるやうぞ 06044
「やう」は、事情、仔細の意味。どういうわけなんだ。
いとほし 06044
第三者として同情を覚えるとの意味ではなく、関係者として責任を感じていることを示す。自分のせいではないと、言葉では表現しているが、仲立ちをしてる者としての責任を感じているのである。
おもむけはべらず 06044
そちらの方向に話をもって行ったわけではないとの弁明。
手 06044
返書。