人の思ひよらぬこと 末摘花02章22
原文 読み 意味
人の思ひよらぬことよ と憎む憎む
里わかぬかげをば見れどゆく月のいるさの山を誰れか尋ぬる
かう慕ひありかば いかにせさせたまはむ と聞こえたまふ
06026/難易度:☆☆☆
ひと/の/おもひよら/ぬ/こと/よ と/にくむ/にくむ
さと/わか/ぬ/かげ/を/ば/みれ/ど/ゆく/つき/の/いるさのやま/を/たれ/か/たづぬる
かう/したひ/ありか/ば いかに/せ/させ/たまは/む と/きこエ/たまふ
「尾行するなど人の思いつくような行動ではないな」と憎まれ口をたたき、
《どこの里も分け隔てない月の姿ならば見ることはするが 空を渡ってゆく月が入ってゆく先のいるさ山を 尋ねる人があるだろうか》
「こんな風につけまわして歩いたら、どうなさいますか」と申し上げになる。
人の思ひよらぬことよ と憎む憎む
里わかぬかげをば見れどゆく月のいるさの山を誰れか尋ぬる
かう慕ひありかば いかにせさせたまはむ と聞こえたまふ
大構造と係り受け
古語探訪
人の思ひよらぬこと 06026
人を尾行するなどという卑劣なことは、ふつうは考えつくようなことではないという皮肉。
いるさの山 06026
兵庫県但馬にある入佐山で、入る際(イルサ)をかける。