寝殿の方に人のけは 末摘花02章17
原文 読み 意味
寝殿の方に 人のけはひ聞くやうもやと思して やをら立ち退きたまふ 透垣のただすこし折れ残りたる隠れの方に 立ち寄りたまふに もとより立てる男ありけり
06021/難易度:☆☆☆
しんでん/の/かた/に ひと/の/けはひ/きく/やう/も/や/と/おぼし/て やをら/たちのき/たまふ すいがい/の/ただ/すこし/をれ/のこり/たる/かくれ/の/かた/に たちより/たまふ/に もとより/たて/る/をとこ/あり/けり
寝殿の方に、姫君の気配が聞けるかしらとお思いになって、つとその場をお離れになる。壊れた透垣がわずかに残っている物陰にお立ち寄りになってみると、前から立ち続けの男がいた。
寝殿の方に 人のけはひ聞くやうもやと思して やをら立ち退きたまふ 透垣のただすこし折れ残りたる隠れの方に 立ち寄りたまふに もとより立てる男ありけり
大構造と係り受け
古語探訪
立ち退き 06021
その場を離れるの意味である。光は命婦の部屋出てと解釈する注があるが、命婦が宮中に戻って行ったあと、一人で命婦にいるというのは考えにくい。帰り道のコースから外れ、くらいの意味であろう。実際には寝殿の方へ近づいていったのである。