これをいかでかはか 末摘花09章06
目次
原文 読み 意味
これを いかでかは かたはらいたく思ひたまへざらむ されど 朔日の御よそひとて わざとはべるめるを はしたなうはえ返しはべらず ひとり引き籠めはべらむも 人の御心違ひはべるべければ 御覧ぜさせてこそは と聞こゆれば
06136/難易度:☆☆☆
これ/を いかでかは かたはらいたく/おもひ/たまへ/ざら/む されど ついたち/の/おほむ-よそひ/とて わざと/はべる/める/を はしたなう/は/え/かへし/はべら/ず ひとり/ひき-こめ/はべら/む/も ひと/の/みこころ/たがひ/はべる/べけれ/ば ごらんぜ/させ/て/こそ/は と/きこゆれ/ば
「これを人ごとながら、どうしてひやひやしないでおられましょう。とはいえ、元日の御衣装として特にご用意なさったものを、ぶしけにお返しもなりません。わたくし一存で隠しおきますことも、姫のお気持ちにそむくましょうため、ごらんに入れました上で」と申し上げると、
これを いかでかは かたはらいたく思ひたまへざらむ されど 朔日の御よそひとて わざとはべるめるを はしたなうはえ返しはべらず ひとり引き籠めはべらむも 人の御心違ひはべるべければ 御覧ぜさせてこそは と聞こゆれば
大構造と係り受け
古語探訪
かたはらいたく 06136
そばではらはらすること。正月の衣装は正妻が調えるものであって、末摘花のすべきことではない。
はしたなう 06136
無礼にも。
人の御心 06136
尊敬語があるので、一般的な言い方をしながら末摘花の気持ちを指している。
ご覧ぜさせてこそは 06136
ともあれご覧にいれようとの意味とも、ともあれご覧に入れた上でことを決めようの意味にもなるが、ここでは後者と考えるのが、命婦の気持ちに添うだろう。