かの宮よりはべる御 末摘花09章04
原文 読み 意味
かの宮よりはべる御文 とて 取り出でたり まして これは取り隠すべきことかは とて 取りたまふも 胸つぶる
06134/難易度:☆☆☆
かの/みや/より/はべる/おほむ-ふみ とて とり/いで/たり まして これ/は/とり-かくす/べき/こと/かは とて とり/たまふ/も むね/つぶる
「あの宮様からのお手紙でございます」と命婦は取り出した。「まして姫のことであってはとり隠してよいものか」と、お取り上げになるにつけても、胸のつぶれる思いがする。
かの宮よりはべる御文 とて 取り出でたり まして これは取り隠すべきことかは とて 取りたまふも 胸つぶる
大構造と係り受け
古語探訪
胸つぶる 06134
胸がひどくいたむこと。諸注は、末摘花の贈り物が光にとって趣味の悪いのを困ったことであるとの思いから胸がいたむと考えるが、ひとりの女として恋の取り結びをすることも(命婦は末摘花の歌をみる権利はなく、末摘花からの手紙は恋の歌と考えるのがふつうであるから)つらく思うのだろう。