ありし色あひを悪ろ 末摘花09章21
目次
原文 読み 意味
ありし色あひを悪ろしとや見たまひけむ と思ひ知らるれど かれはた 紅の重々しかりしをや さりとも消えじ と ねび人どもは定むる
06151/難易度:☆☆☆
あり/し/いろあひ/を/わろし/と/や/み/たまひ/けむ と/おもひ/しら/るれ/ど かれ/はた くれなゐ/の/おもおもしかり/し/を/や さりとも/きエ/じ/と ねびびと-ども/は/さだむる
先に贈った色合いが時節に合わぬとでもお考えだろうかと想像されたが、これもまた紅の重々しい色合いではないか、見場はともかく捨てたものじゃないと、年嵩のいった女房は決めつけた。
ありし色あひを悪ろしとや見たまひけむ と思ひ知らるれど かれはた 紅の重々しかりしをや さりとも消えじ と ねび人どもは定むる
大構造と係り受け
古語探訪
ありし色あひ 06151
末摘花から光源氏に贈った衣装の色合い。「今様色の えゆるすまじく艶なう古めきたる直衣の 裏表ひとしうこまやかなる いとなほなほしう つまづまぞ見えたる/06139」
はた重々しかりし 06151
ふたつのものが同じであるだけでなく、時が同じ状況で用いる言葉。この場合の時は、正月の時節に不似合いということで、「悪ろし」に込められていると考えられる。紅は
紅の 06151
光源氏も常陸宮の姫君も、身分が高く制限される色合いではないが、濃い紅は禁色で、聴(ゆる)しがないと身につけることができない重々しいものだった。
ねび人ども 06151
年配の女房。